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適格機関投資家等特例業務とは

適格機関投資家等特例業務の要件に該当すれば、ファンド組成の際、ネックになる、第2種金融商品取引業の登録(勧誘段階)、投資運用業の登録(運用段階)が不必要になり、柔軟な対応ができることとなるわけなのですが、

適格機関投資家等特例業務に該当するためには、まず、押さえとくべきものとして、投資家の要件があります。

それは、

①投資家の中に、最低1名以上の適格機関投資家が存在することと、適格機関投資家以外の投資家が49名以下であること

②法63条1項1号イ ロ ハまでのいずれにも投資家が該当しないこと

①に関し、適格機関投資家の要件は、定義府例10条にあります。例えば10億以上の有価証券残高(基本的には直近のBSをベースにします)のある法人は事前に届出を行うことが必要です。その届出を行い一定期間(2ヶ月)がたった後はれて「適格機関投資家」となれるわけです(但し2年間)。

②に関しては、特にはロに留意する必要があると思われます。例えば、特例業務を行おうとする者に出資を行う投資家がさらに適格機関投資家以外の者(いわゆる一般投資家)から匿名組合出資を受けている場合です。かかる一般投資家が1名だけであっても、要件を満たさなくなりますので注意が必要です(参照 スキーム図)。

ハに関連しますが、投資事業有限責任組合(LPS)や有限責任事業組合(LLP)の場合には特例が認められています(業府令235条2号イ ロ)。

その他にも転売制限規制にも注意が必要です(実際には転売制限のある旨を匿名組合契約中に盛り込むことになります)。

そして、プロ投資家たる適格機関投資家からの出資を受ける必要があるわけですが、具体的にいくらまで出資するかについての規制はありません。しかし、だからといって1円だけ出資すれば足りるのか、というとそうでもないようです(パブコメから)。全体の出資割合が重要と思われます。

次に適格機関投資家等特例業務届出を行うタイミングですが、これは「あらかじめ」となっているところ、平成19年7月31日付パブリックコメントP553、70番によれば、「投資家が最初に当該持分を取得するまでの間」とありますが、一方で「ただし、実務的には投資家に取得勧誘を開始するときまでに届出を行うことが現実的」とあるので留意が必要でございます。そのため、実際はなるべく早い段階での届出を行うべきかと考えます。

このように、届出書そのものの作成は簡易ですが、法律の要件を満たしていく必要がありますので、そこは留意が必要です。基本的に事後規制となっているので、事前のチェックは欠かせません。

 


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